フランス語のプロは何をきっかけにフランス語をはじめたのか?
香港に住んで仕事をしている日本人の私が、仕事上の要請のため、フランス語に取り組んでいるが、実はそのずいぶん前から、時間が許せばフランス語を勉強してみたいと漠然と思っていた。
しかし、何かはっきりとした理由があったかというとそうでもなく、いろいろな角度から考えても、はっきりとは説明できかねる何かによって、フランス語をやらねば、と思っていたとしか説明できない。
そういうわけで、フランス語を生業としている専門家のことを調べれば、ヒントでも探し当てることができるだろうと思って、その関連の本を読んでいたことがあった。
例えば、
桑原武夫 わたしの読書遍歴
潮文庫ー青36B
350円
この本は、昭和61年4月25年発行というかなり古い本だが、京都大学名誉教授で、スタンダール「赤と黒」の訳者でも知られる著者は、このように言っている。
私がフランス文学を勉強するようになったキッカケも、中学で新潮社版の『近代劇選集』(楠山正雄訳)の中のエドモン・ロスタンの『シラノ・ド・ベラジュラック』を読んだことにあった。何ともいえず感動して、何でもフランスをやらねば、という気持ちに誘われたからだ(それまで私は数学者になるつもりでいた)。また中学生の私は、永井荷風や谷崎潤一郎の作品は一つ残らず読もうとしていたが、それも今顧みると、この二人の作家そのものに心惹かれていたというより、実は彼らの当時の作品の中に満ち溢れる西洋風な香りに酔わされていたのであるらしい。
つまり、何とも説明できないが、やらねばならない、という気持ちに対して、無理に合理的な説明をつけようとするよりも、こころの声に従ってとりあえずはじめてみるということも重要なのかもしれないと思う。
以上
#フランス語