日本人の私がフランス語を勉強するメリット

日本人がいかに独学 低コストでフランス語を身につけるか

ピーター・フランクルのフランス語 勉強法に学ぶ

フランス語を学習している私は、他のフランス語学習者の情報を集めて参考にしたい思っている。

 

まずひとり目は、数学者で大道芸人のピーター・フランクル。

このひとは日本語も流暢ですが、フランス語もうまい。母語のハンガリー語のほかに、12か国語を使って大学で講義ができるという。

 

ピーター流外国語習得術

岩波ジュニア新書

 

この本は私の愛読書のひとつですが、ここにフランス語の習得法に関する記述があるので以下に引用する。

 

p.132

 ベットの中で、ときには日の当たるベランダに座って、四百ページもあるフランス語の本を読みました。先生の選択はフランソワーズ・サガンで、とてもよかったのです。というのは、サガンは文学的な価値はあまりないと思いましたが、その文章がかんたんで読みやすかったからです。こうして、ぼくは一冊の本を全部読みました。

 

 先ほど、外国語を学ぶときには翻訳してはいけないと言いましたが、それは相手と会話をするときの話です。そのさいに頭の中で翻訳するのはいけないのですが、本を読んでいるときに理解できない単語を調べることはぜひとも必要です。読んでいるときはかならず辞書で調べるべきです。全体の意味があるていどわかる場合、人間はだいたい楽をすることが多く、わからない単語の意味を調べようとはしません。そして、その単語が四回も五回も出てくると、どうも気になってついに調べるのです。

 

 ところがそれは大損なのです。なぜかというと、最初に調べておけば、二回目に出てきたとき、三回目、四回目、五回目は復習になって、その単語を覚えてしまえたのです。だから、ぼくはわからない単語を全部調べながら、三週間弱でこの本を全部読みました。そのあいだに、わからなかった単語を1000語以上も単語帳に書いて、ほとんど覚えてしまいました。

 

物語の中から単語を拾いながら、フランス語を学習するという方法は理にかなっていると思う。ストーリーがイメージになって記憶に残りやすいからです。

この方法を用いるとき、読書の対象はサガンでなくてもよいし、入手できる本で、内容に強い興味があれば、何でも良いと思う。ただ初めから難しいものではなく、簡単な表現や単語を使ったものが良い。

 

以上

#フランス語

フランス語学習者から学ぶ

フランス語を学習している私としては、同じくフランス語を学習しているひとの本を読むことが好きである。

 

私の愛読書である以下の本から引用する。

 

雲の上はいつも青空

福田みな子

中公文庫

340円

 

エールフランスのスチュワーデスとして働いた経験をつづったのが本書で、フランス語と格闘している箇所が何度も出てきて面白い。

 

p.207

フランス語に慣れないうちの笑い話は幾つもある。

(略)

ある朝、フランス人から電話がかかってきて、今から行ってもいいか、と言うので、まだ顔も洗っていないから・・・・・・と言うと、向こうが電話口でいつまでも笑っている。それもそのはず、私は顔のつもりを尻と発音し、「まだ尻も洗っていないから・・・・・」と言ったのだった。英語のフェイスからイをとってフェスにすると尻という意味になるのだ。顔だとファスと言わねばならない。英語とフランス語がなまじっか似ているものだからこういう間違いをするのだった。

(略)

p.208

一時期部屋を借りたことのあるモニック・ジュリアンの母親がクリスマスのプレゼントとして私にくれたアルフォンス・ドーデの『風車小屋便り』がまだ一ページも開けられず私の本箱に眠っていた。それをモニックに取ってきてもらって辞書を片手に読みはじめた。そうして一月かかって375ページの本を読み終えた時、私はどうにかフランス語が喋れるようになっていたのだった。全く会話体の物語ではないのに、不思議な話だが、私の頭のどこかがフランス語に慣れたのだろう。

 

読書を通して無理やりでもフランス語の世界に没頭しているのも、フランス語を習得する方法だと思う。

 

以上

#フランス語

フランス人 仏蘭西人とはどうのような人種であるか?

フランス語またはフランスの何が私を引き付けるのかを見つけ出さなくてはならない。

そう思ってフランス語の勉強と並行して、フランスに関する本を探してみたところ、次のような本がありました。

 

講談社文芸文庫

現代日本のエッセイ

ふらんす人

辰野隆

 

この本はかなり古く、1941年8月に発刊されているが、フランス語を勉強しているひとには参考になると思うので引用します。フランス文学者である著者は、フランス留学を踏まえて、このように言っています。

 

 

「一体、仏蘭西人が饒舌であるという事は仏蘭西人が言葉を愛するという一つの特質でありまして、仏蘭西人は一般に、如何に瞭り話をするか、美しく話をするかに苦労を惜しまない。人に分からせるように、自分だけ勝手に喋るのでなく、どういう風に話したら聞く者が易く理解するか、明瞭に理解するかという事を気を付ける国民であります。日本の言葉で申しますと、言霊の幸わう國と申しますか、非常に言葉を重んずる国民であります。」

 

さらに、

 

「で主婦の申しますには、自分の家は御覧の通り金もない家で、娘が嫁にゆく時何か仕度してやり度い思うが、こういう貧乏な世帯では何も出来ない。せめて娘の嫁入道具として立派な正確な仏蘭西語を話せるようにして、それを嫁入道具の一つにしたいと思うと云っておりましたが、私は成程仏蘭西人は古来文学を重んじ芸術を重んずる国民であるという事を思って感心した訳であります。」

 

私が仕事上で会うことがあるフランス人は、香港に長く住んでいるので、英語も理解できるのだろうけれども、決して英語を話そうとしない。

相手が正確な英語で話をしても、無表情でやり過ごすか、あまり良い顔をしない。一方で、つたないフランス語で話すと、突然話に集中し始めて、一生懸命意味を聞き取ろうとする。そして、相手のフランス語の間違いをひとつひとつ丁寧に教えながら会話をする。

 

なので、フランス人と接触する機会があるひとは、フランス語が少しでもできると相手との関係を一気に築くことができるというメリットがあります。

 

以上

#フランス語

フランス語のプロは何をきっかけにフランス語をはじめたのか?

香港に住んで仕事をしている日本人の私が、仕事上の要請のため、フランス語に取り組んでいるが、実はそのずいぶん前から、時間が許せばフランス語を勉強してみたいと漠然と思っていた。

 

しかし、何かはっきりとした理由があったかというとそうでもなく、いろいろな角度から考えても、はっきりとは説明できかねる何かによって、フランス語をやらねば、と思っていたとしか説明できない。

 

そういうわけで、フランス語を生業としている専門家のことを調べれば、ヒントでも探し当てることができるだろうと思って、その関連の本を読んでいたことがあった。

 

例えば、

 

桑原武夫 わたしの読書遍歴

潮文庫ー青36B

350円

 

この本は、昭和61年4月25年発行というかなり古い本だが、京都大学名誉教授で、スタンダール「赤と黒」の訳者でも知られる著者は、このように言っている。

 

私がフランス文学を勉強するようになったキッカケも、中学で新潮社版の『近代劇選集』(楠山正雄訳)の中のエドモン・ロスタンの『シラノ・ド・ベラジュラック』を読んだことにあった。何ともいえず感動して、何でもフランスをやらねば、という気持ちに誘われたからだ(それまで私は数学者になるつもりでいた)。また中学生の私は、永井荷風や谷崎潤一郎の作品は一つ残らず読もうとしていたが、それも今顧みると、この二人の作家そのものに心惹かれていたというより、実は彼らの当時の作品の中に満ち溢れる西洋風な香りに酔わされていたのであるらしい。

 

つまり、何とも説明できないが、やらねばならない、という気持ちに対して、無理に合理的な説明をつけようとするよりも、こころの声に従ってとりあえずはじめてみるということも重要なのかもしれないと思う。

 

以上

#フランス語

フランスおよびフランス語の魅力はどこから来るのか?

フランス語の勉強を始める前に、フランス語またはフランスについての本を探しては読んでいたことがあった。

 

フランス語に限らず、外国語の学習は時間とエネルギーを要するため、最初に選択や方向性を誤れば、損失が大きくなるのを恐れたからだ。

 

私も他の例にもれず、なるべく効率的にものごとをやりたいと思っている。

 

そういうことで、この本を何気なく読んでいた時に、なぜこれだけ多くの人がフランス語やフランスに魅了されるのかを説明しているような箇所に出会った。

 

フランス印象記(講談社学術文庫)

桑原武夫

320円

 

p189

かつてヨーロッパの知った高雅なもののすべて、感受性、趣味、風習の高雅さ、この言葉のもつあらゆる意味における高雅さ、そのすべてはフランスの作品であり、創造である。 ニーチェ

 

p190

フランスへ行って私のまず感服させられたのは、文化尊重の念があつく、またその設備のすぐれたことであった。コレージュ・ド・フランスのようなものを他のどの国がもっているだろうか。ヴァレリ、ジルソン、ベディエ、ランジュヴァンなどの碩学の講義を暖かく清楚な教室で、何人にも無料で聞かせるばかりか、実験もさせ、また別刷活版印刷の教材を講義前に事務員がくばってくれ、前回欠席の方にはその分も差し上げます、などというのである。図書館、美術館などのことはあえていわない。学芸にたずさらる人間として、いわゆるフランスの弱体よりもさきに。先ずこうした事実の有難さを通関したことを私は恥としない。

 

文化の尊重はその底に文化への信念がなければ成立しない。そして自国の文化への十分の自身がないとき、文化一般という観念は宙に浮く、従って脆弱となるおそれのあることも言をまたない。私は一般フランス人の自身の強さに感心した。ことに祖国の文化の混乱状態を思うて強く打たれるものがあった。

 

著者の桑原武夫氏は、京都大学名誉教授で、アラン「芸術論集」、スタンダール「赤と黒」の訳者として知られている。

 

フランス語またはフランスが多くの人を魅了している理由のひとつはこういうことではないかと思う。

 

以上

 

フランス語を勉強するメリットとは?

私は香港に住んでいる日本人ですが、仕事の都合上フランス語が必要になり、勉強を始めました。

 

香港は人口密度が高く、その分移動も速いため、例えばフランス語の学校に通うのは簡単です。

 

香港には法國文化協會が灣仔,佐敦,沙田の3カ所あり便利で入学も考えたが、独学でやることにした。

 

仕事の都合上必要になる前にも、フランス語は勉強したいと思っていたが、自分で分析してもはっきりこれだ!という理由というものが見つからなかった。

 

そこでこれを機会に考えてみようと思う。

 

まずは

1)フランス語を話せると自分のポジションが相対的に上がる。

 

いきなり何か不純な理由を持ってきましたが、新しい外国語に挑戦するときに、理由が不純でも構わないと思う。下心丸出しで取り組んだ方が長続きすると思う。

 

ひとつ例を挙げると、先週地下鉄で移動していたとき、斜め向かいの女性(おそらく香港人、40代前後)が電話で広東語を使って話をしていた。

それが終わってしばらくして、また電話を取り出して、今度は突然まったく流暢なフランス語で話だしたのです。

 

私もその周辺の乗客も驚いて彼女の方を振り返って見ていましたが、彼女の方はごく自然とフランス語で会話をしていました。おそらく若いときにフランスに居住していたことがあるか、またはご主人がフランス語を母国語とするひとなのでしょうか。

 

私も含めてその周辺の香港人の、彼女に対する、ある種の尊敬の眼差しというものを見て、フランス語の威力というか、フランス語の持つ優雅で高級なイメージを再確認しました。

 

ここでもし彼女が日本語や韓国語、さらにドイツ語を話しても、ここまでの尊敬の眼差しを浴びることはなかったでしょう。

 

フランス語、さらにはフランス文化、フランスという国には、こういう威力があることは間違いないようです。

 

私が以前からフランス語を勉強しようと考えていた理由は、決してこれだけではありませんが、10%程度は占めていると思います。

 

今の世の中では英語を話せても、当然と見なされる時代ですし、またピアノが弾けてもフランス語までの威力はないでしょう。

なぜならともにできる人が相対的に多いから。

 

これからは他人が出来ないことができる、ということがより重要になってくる時代だと思います。

 

つづく