フランス語学習者から学ぶ
フランス語を学習している私としては、同じくフランス語を学習しているひとの本を読むことが好きである。
私の愛読書である以下の本から引用する。
雲の上はいつも青空
福田みな子
中公文庫
340円
エールフランスのスチュワーデスとして働いた経験をつづったのが本書で、フランス語と格闘している箇所が何度も出てきて面白い。
p.207
フランス語に慣れないうちの笑い話は幾つもある。
(略)
ある朝、フランス人から電話がかかってきて、今から行ってもいいか、と言うので、まだ顔も洗っていないから・・・・・・と言うと、向こうが電話口でいつまでも笑っている。それもそのはず、私は顔のつもりを尻と発音し、「まだ尻も洗っていないから・・・・・」と言ったのだった。英語のフェイスからイをとってフェスにすると尻という意味になるのだ。顔だとファスと言わねばならない。英語とフランス語がなまじっか似ているものだからこういう間違いをするのだった。
(略)
p.208
一時期部屋を借りたことのあるモニック・ジュリアンの母親がクリスマスのプレゼントとして私にくれたアルフォンス・ドーデの『風車小屋便り』がまだ一ページも開けられず私の本箱に眠っていた。それをモニックに取ってきてもらって辞書を片手に読みはじめた。そうして一月かかって375ページの本を読み終えた時、私はどうにかフランス語が喋れるようになっていたのだった。全く会話体の物語ではないのに、不思議な話だが、私の頭のどこかがフランス語に慣れたのだろう。
読書を通して無理やりでもフランス語の世界に没頭しているのも、フランス語を習得する方法だと思う。
以上
#フランス語